Column of STUDIO FROHLA

音って何でしょう?

耳の付いている動物、

そのほか全ての地球に住む生き物は、音を聞いたり感じたりしています。
音は空気や水、固体(媒体)の振幅や振動が伝わり届くこととされています。流動体のなかを振幅の幅の大小によって伝わってゆくのです。
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しかし、ごく最近は、この媒体の振幅だけではなく、媒体の分子自体が振動して伝わることがわかっています。
つまり大げさに言えば、空気が振動していなくても音は伝わっているということです。
例えば、小さな鈴虫の羽音を録音したとしましょう。鈴虫の籠にマイクを取り付け録音します。
鈴虫と同じ音量で録音をスピーカーから音を出します。
その二つの音を周波数分布測定器(スペクトラム・アナライザー)で同じになるよう確認しながら作業します。その二つを比べると明らかに音の立ち上がりや音の通りが違います。これは分子の振動をスピーカーから媒体に与えていない事に他ならないのです。
これは電気理論でいう電流と同じです。つまり電線のなかを電子が飛んで移動することが電流ではなく、電線を筒にたとえると、中にぎゅっと詰まったビー球が、入り口の端から押し込まれ出口では入り口に与えられた力の分だけビー球が押し出されることなのです。この考えを音に置き換えると、過去100年余りに渡って試行錯誤してきたスピーカーを使った電気音響をすこし見直さなければならない時期に来ているという事なのです。つまり、スピーカーは電気の量の時間的変化(交流電流)をコイルに流して力を生じ、スピーカーのコーン紙を振動させ空気の振幅に変換する装置です。マイクロフォンはこの逆です。

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バランスが全てに優先する

ミキサー、音を混ぜる技術者、バランスエンジニア、録音技師、PAミキサー、MAミキサー、その業種の多さは数えたらきりがありません。しかし一般的に言って電気音響にかかわるすべての技術者を音響技師と呼んでいます。
そのなかで、舞台や客席で、またはスタジオでミキシングコンソールの前に座る人がミキサーと呼ばれています。
ある種の効果を狙った、危機せまるアドレナリンを放出させるような場面を除いて、ミキサーは観客やリスナーにたいして不機嫌になるような電気音響空間を作ってはいけません。ミキサーの趣味がゲテモノであると出てくる音もそうなることがありますが。趣味の良し悪しはさて置き、バランスを欠いた音響は聞けたものではありません。バランスが取れないミキサーはプロといえないでしょう。
それでは、なにがバランスのよいミキシングなのかと言うと一概に説明しにくいのですが、ひとつだけはっきりしていることは、そこに表現されるべき作品の音響に向いているかどうか、目的をもったミキシングがされているかどうか、ということでしょう。つまり今晩上演される演目、または収録される作品の音響的バランスが正しいか否かが生死をわけるのです。作品の理解なしに正しい音響創造はできません。

音楽ミキサーに必要な条件は、

音楽ミキサーに必要な条件は、電気(電子回路)技術、音楽読譜力(楽器演奏とくに合奏経験)、協調性、体力と忍耐力、想像力、即ちこれらをミキシングしたセンスを要求されます。そして会話力(相手を説得させる話力)が必要になります。
音楽や劇作品の本質を探し出し突き詰めることこそ、表現者(私たち)に一番大切な要素です。

その本物の見つけ方

物事にはたいてい長い間の歴史によって基準になってきたことがあります。科学の進歩によって今まで民間療法が科学的でないと非難されていたものが、実はとても科学的に正しい事だったり、今まで信じてきたことがある日突然、ひっくり返ったりします。宇宙人が本当にやってきたらどうなるのでしょうか? 生き物には、なんとなく自然に感じたり不自然に感じたりするものが存在していることは誰でも知っています。しかし人間は自分自身が感じたことが他人からの裏付けがないばかりに何かに頼ってしまうという癖があります。聴衆の感情に訴えることが大切な音響ミキサーは、感性のアンテナを張り巡らし、少しでもシグナルが入感したらすぐに自分の引出しから同調する回路を引き出してきて検波しなければなりません。勿論修行中のころは、先輩の意見や上司の言葉を聞くことが大切ですが、捜し求めるものは、誰かの趣味の問題ではなく不変的な本質です。
多くの現場を経験して職業として音響技術者になってゆくわけですがルーチンワークに陥りやすい事に気をつけながら、いつも自分の考える理想を探し続けることが大切です。
そして悪い音しか出ないのは(機械が故障していない限り)悪い機材のせいではなくミキサーの腕のせいでもあることを忘れないでいたいものです。録音ミキサーの場合はCDやラジオ、多くの映画、サントラを聞きあさることが必要でしょう。
その中にはきっと探している本物が隠れています。.

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ウオルフガング アマデウス モーツアルト

だれでも知っている作曲家です。彼も生前にはいろいろな障害を乗り越え、ひとりの独立した芸術家をめざして悪戦苦闘したようです。天才を認める才能は、誰にも与えられてはいませんが感情に素直に反応する姿勢は表現する技術者に求められる素質ではないでしょうか。

ウイーン市内に建つモーツアルト